ぼくは悲しんでいます。
一人のスピッツファンとして、そして一人の音楽ファンとして悲しんでいます。
みんなスピッツのすごさに気づいていなさすぎです。
ぼくはテレビで流れてきた『空も飛べるはず』に衝撃を受けて以来12年目のスピッツファンです。
スピッツの曲というのは聴くほどに良さがにじみ出てきて未だに新しい発見があります。
どんどん好きになっていくこの状態はまるで沼です。
記事タイトルで『スピッツこそ日本一すごいバンドだ』と断言しているのですが、これは何もぼくがスピッツファンだからこんなことを言っているわけではありません。
確かにこの記事に書く内容はぼくがスピッツファンだからこそ分かることです。
しかしこれらの要素を知っていればファンじゃなくともスピッツが日本最高のバンドだと考えたでしょう。
この記事ではスピッツが他のバンドには真似できない唯一無二の存在であることを解説していきます。
老若男女、音楽に詳しい人・そうでない人にも受ける圧倒的なメロディセンス
スピッツの歌詞は難解ではっきりいって何言ってるか分からないものが多いです。
『空も飛べるはず』だったら「君と出会えた奇跡がこの胸に溢れてる」くらいしか分からないでしょう。
唐突に「空も飛べるはず」って言ってくるのも意味不明 笑
ただこの難解な歌詞が前述したような無限の解釈や奥深さにも繋がっているのですが、みんなが思うスピッツの魅力といったらあの極上のメロディでしょう。
あのメロディを嫌いな人なんていないんじゃないでしょうか?
スピッツの曲は幅広い年代に評価されています。
スピッツの世代であるアラサー・アラフォーはもちろんのこと、20年前の曲が未だにÇM曲に使われたりするものですから再評価されることが何度もあり、10〜20代前半でもスピッツが好きという人は多いです。
以前ÇMで女優の上白石萌歌が『楓』を歌っていた時は音楽配信サイトで3位にランクインするほどの注目を集めました。

他にもスピッツは落語家の笑福亭鶴瓶が主催するトークライブ『無学の会』に出演したことがあります。
年配のお客さんが多いことから、スピッツが登場してもお客さんには誰なのか気づかれなかったそうです。
しかしその後スピッツが『チェリー』を演奏しだすやいなや、お客さんにもスピッツが来たと分かったらしく悲鳴のような大騒ぎ。
結局『チェリー』は2回演奏したのだといいます。
年配の人であっても『チェリー』を聴けばスピッツだとすぐに分かってもらえるし、大騒ぎになってしまう。
スピッツが年配の人にも支持されていることがよく分かるでしょう。

そして音楽に詳しいマニアックな人たちにもスピッツは支持されています。
世間的にはスピッツをポップスだと思っている人が多いですが、音楽に詳しい人たちはスピッツのことをロックバンドだと認識しています。
もし自称音楽好きで「スピッツをポップス」なんて言っている人がいれば100%にわかですね。恥だと言っていい。
老若男女、音楽に詳しい人・そうでない人、そのいずれにも「好き」と言わせる圧倒的なメロディセンスがスピッツにはあります。
こんなバンド他にいるでしょうか?
批判されない
スピッツは今年でメジャーデビュー27年、バンド結成からは31年になります。
これだけの長い間活動していてもう20年以上売れ続けています。
売れているバンドというのはそれだけ好きな人が多いからなんですが、売れるとそれに比例してどうしても嫌いな人も増えていきます。
最近のバンドで言えばセカオワは中二病って批判が多いし、RADWIMPSはラブソングを中心としていた昔の曲と比較してネットで批判されています。
世界で最も成功したバンドと言われるビートルズだって嫌いな人がたくさんいました。
どんなバンドであっても売れれば必ず嫌いな人が出てきて、今の時代ならネットで批判をされるものです。
しかしスピッツはというと全くと言っていいほどネット上での批判がありません。
そして他の人たちもこのことに気づいているらしく、「なんでスピッツは批判されないのか」を議論しているほどです。
その他にも「あの曲が好き」「あれはよかった」みたいなスピッツのいいところをコメントしあっていることも多いです。
たまに批判しているようなタイトルのスレッドを見かけますが、よくよく読んでみるとスピッツを賞賛する方向に向かっていっています。
スピッツは人気・活動期間に比例して増えるはずの批判やアンチの割合がもっとも少ないバンドなのです。
ぼく自身もいろんな人に自己紹介で「スピッツが好き」ということを言っていますが、スピッツが好きだというとたいがい相手が笑顔になります。
特に30代の受けの良さがすごい。
好きな音楽を聞かれて答えづらい時は「スピッツが好き」と言っておけば間違いないです。
ÇDよりライブのほうが上手い
たまにいるじゃないですか、ライブがひどいアーティストって。
ÇDだときれいに補正することができて音程のズレさえも直すことができるらしく、ÇDとライブのギャップに驚くこともあるでしょう。
ではスピッツはどうなんでしょうか?
あまりスピッツにライブのイメージがないと思いますが、実は日本で5番目にライブ本数が多いバンドで、その数は1000回を超えています。
特に最近はライブ主体の活動をしており、若手にまじってフェスに参加したり毎年ライブイベントを主催したりと、ライブバンドとしての地位を確立しつつあります。
それだけライブをやっているのですから、当然ライブは上手い。
RADWIMPSなどのように超絶技巧を発揮することはないですが、クオリティの高い演奏力をライブの最初から最後まで発揮する抜群の安定感があります。
しかもメンバー全員余裕たっぷりに演奏している(ように見える)のだから恐ろしい。
そしてスピッツのライブはÇDと比べても劣らないとかそんなレベルのものではありません。
断言していいですが、スピッツはÇDよりもライブのほうが上手いです。
ぼくは高校3年生だった2010年に両親と一緒に初めてスピッツのライブに参戦しました。
期待で胸がいっぱいになっている中でスピッツのライブが始まり、3曲ほど聴いたあたりでこんな思いが込み上げてきました。
スピッツはデビューから一貫してロックをやっているのですが、あの歌声やきれいすぎるメロディが災いしてかポップとして捉えられることが多いです。
『チェリー』や『楓』のころまではレコーディングでの”マスタリング”という音のバランスを調整する作業のやり方があまりよくなかったためにスピッツ本来の音よりも暗く沈んだ状態でÇDに収録されています。
今ではかなりパキッとした音で聴けるようになっているんですが、それでもÇDとライブの音は全然違います。
最近の曲でも「えーっ、この曲こんなにロックだったの?」っていう曲がありますし、『チェリー』だってライブで聴くと結構ロックです。
つまりスピッツの演奏はÇDやDVDに収録できる質のものではないんです。
ライブでのスピッツの実力を知れば、「フワフワしている」「穏やか」「癒し系」などといった寝ぼけたイメージは覆ることでしょう。
スピッツは正真正銘のロックバンドです。
好きなように活動して売れ続けている
音楽業界は変化が激しく売れ続けるのは大変なこと。
ミリオンヒットを出してもすぐに名前を聞かなくなったアーティストもいっぱいいますし、最近でも西野カナはかなりマーケティング戦略を練って共感できる歌詞を作っていることを公言しています。
ですがスピッツは全然売れていなかったデビュー当初からずっとやりたいことを好きなようにやり続けているバンドです。
当時はほとんどなかった奇抜なデザインのÇDジャケット(ヒトデしか写っていない等)をやらせてもらっていたし、音楽に関してもああしろこうしろといったことを言われることなく活動していました。
スピッツってめちゃくちゃ売れた大物バンドですけど、曲は全然売れ線じゃないですよね。
歌詞が難解すぎるし、スピッツって他の売れているアーティストがやっている転調だとか変拍子の曲をほとんどしません。
今の時代もそうですし、ブレイクしたころだって時代を逆行していました。
ブレイク前の2年くらいはスタッフに売れて恩返しをしようと売れようと意識していたことはありますが、それ以外は一貫して自分たちがいいと思うもの、やりたいことをやり続けています。
スピッツは『ロビンソン』でブレイクした時だってヒットチャートの最前線に立つって感じじゃなく少し外れた位置に立っていたんですよね。
売れるためにやりたい音楽を曲げることはせず好きなようにやって、それでも時代から外れすぎない絶妙な位置に立ち続けている。
スピッツの場合計算じゃないと思うんですけど、無意識にせよ狙っているにせよこれができるバランス感覚は異常です。
誰もが知っている曲が4曲ある
ぼくがスピッツを好きというとたいがい「ロビンソンいいよね!」「チェリー好き!」っていうふうに言われます。
これらの曲ばっかり言われるのはファンとしてはちょっと複雑なところはありますが、これってものすごいことなんですよね。
例えばミスチルやB’zのことはみんな知っているでしょう。
だけども彼らのヒット曲、代表曲でこれぞ!というものがパっと思い浮かぶでしょうか?
ミスチルはミリオンヒットを出しまくっていますが、90年代の世代じゃない人にとってはそのころの曲はファンじゃない限りほとんど知られていません。
B’zは「ウルトラソウル」くらいは分かりそうですが、まあそれくらいです。
ところがスピッツの「ロビンソン」「チェリー」「空も飛べるはず」「楓」は90年代のヒット曲でありながら、スピッツファンでない10代、20代にも知られています。
スピッツのことが全然分からなくても誰もがすぐにスピッツというバンド名から連想出来てしまうのがこれらの曲です。
これらの曲は未だにカラオケでもよく歌われるし、音楽配信でも毎年安定的に売れています。
20年以上前の曲でありながらどの年代の心に響く名曲であることの証です。

しかも『空も飛べるはず』『チェリー』は音楽の教科書にも載っているんですよね。
音楽の教科書に載るロックバンドなんて他にはビートルズくらいのものです。
あれ。ということはスピッツはビートルズと同じレベル?
スピッツは日本のビートルズだったのか。。。
ファンにすら懐かしさを与える
最近スピッツの曲を耳にすることは減っていると思います。
もしかしたらそのせいでスピッツは消えたと思っている人もいるかもしれません。
ですがスピッツの曲を耳にしなくなっているのは、ただ単純にスピッツが曲を出すペースがゆっくりになっているからです。
アルバムを出そうと思えば毎年出せるらしいですが、それをするとライブが出来なくなるから3年に1枚という今のペースになっています。(ライブのMÇで話していた)
曲をあまり出さなくなったとはいえ、スピッツの人気はまだまだ根強いです。
去年は『ヘビーメロウ』がめざましテレビのテーマ曲、『歌ウサギ』が映画の主題歌になっていましたし、2016年に出したアルバム『醒めない』は初週8万枚超えで累計では10万枚を超え。
2016年当時でもアルバムが10万枚売れるバンドはほとんどいませんでした。
配信では「iTunes」「レコチョク」「mora」の大手3社で週間1位となり3冠を達成していますし、全然消えてなどいません。
「スピッツまだやってるの?」なんてことを言うのは早すぎますよ←

アルバムが3年ごと、シングルはアルバムが出る前に1枚出るくらいで新曲発表がゆっくりになっているスピッツ。
以前久しぶりに出たスピッツの新曲を友だちに聴いてもらったら「懐かしい」という感想が返ってきました。
ファンではない友だちがそういう感想を持つのは分かるのですが、実はぼくもスピッツの新曲を聴くと「懐かしい」という気持ちが湧いてきます。
ぼくは大ファンだからしょっちゅうスピッツの曲を聴いているのですが、新曲を聴くのは数年に1度のこと。
数年単位で新曲をおあずけされているとはいっても曲のクオリティが落ちることはなくて、いつもと変わらないスピッツの曲であることに安心させられます。
スピッツの新曲を聴くのはしばらく会っていなかった友だちに会うような感覚があります。
スピッツはとんでもないことをサラッとやっている
ここまで書いてきたスピッツが日本一すごいバンドである所以をまとめてみましょう。
- 老若男女、音楽通にも受けるメロディセンス
- 30年超えのキャリアなのに批判が少ない
- ÇDを超えるライブの演奏力
- 好きなようにやって売れ続けている
- それでいて国民的ヒット曲がある
- ファンにも懐かしい気持ちを与える
これを計算でやっていてもすごいですが、スピッツの場合肩の力を抜いてやっていたら結果的にこうなっていたという感じです。
押し付けがましいところが一切なく、リスナーに気づかせないくらい自然にやれています。
いろいろ書いてきましたが正直なところ、ぼくもスピッツのすごさを理解しきれていないと思います。
未だに曲を聴いて「すごい!」と思わされることがありますからね。
おそらくスピッツはメンバーの誰かが死ぬとかしてバンドを続けられなくなるまで引退しないでしょう。
メジャーであれインディーズであれ、どんな形でも限界まで続けるだろうという思っています。
ぼくもこの日本一すごくて日本一好きなバンドをこれからも応援していきます。