こんにちは、リュウです。
アニメ第3期も始まってさらなる注目を集める「進撃の巨人」の26巻が発売されました。
25巻を読んだときはもう進撃の巨人の終わりも近いんじゃないかと思っていましたが、26巻で予想外の展開を迎えてこれからどうなっていくのかまったく分からなくなりました。
今の進撃の巨人はどっちも正しいしどっちも間違っているという状態になっていて、今までと比べると読後の後味は悪いです。
しかしそれでも続きを読まずにはいられない、読者を引きつける何かがあります。
26巻に収録されている4話分のあらすじを紹介しつつ感想を書いていきます。
ネタバレとなるので、未読の場合は注意してください。
第103話 「強襲」
戦況はマーレ側の優勢
リヴァイがついに・・・?
ジークが倒され、一人残されたピークのもとに調査兵団の攻撃が集中。
調査兵団の作戦上、限られた時間のうちに車力の巨人を無力化する必要があったためです。
ピークと調査兵団が戦うすぐそばにはサシャが身を隠して潜んでいました。
サシャはタイミングを見計らってピークの重機関銃武装の中で攻撃をしていたパンツァー隊の一人を狙撃。
それによって出来た隙を突いてピークに集中攻撃を仕掛け、ピークを瀕死の状態に追い込みました。
とどめを刺そうとジャンはピークが逃げた先にに向かいましたが、ジャンの目の前にマーレ戦士候補生の一人であるファルコがピークをかばいに飛び出してきました。
第104話「勝者」
非情になりきれないジャンの性格
ファルコが飛び出してきてもなおジャンはピークに向かって攻撃を仕掛けます。
しかしその時ピークが残された力で発した蒸気の影響もあってか攻撃を外しました。
個人的にはジャンが攻撃を外したのは蒸気のせいじゃなくジャンの非情になりきれない性格によるものだと思います。
今までも非情になりきれず敵に殺されかけたり、ライナーを逃がすきっかけを作ったりしていました。
ジャンはこの戦いの中でも民間人への被害を最小限に抑えようとしていましたから、まだ非情になりきれていないんでしょう。
ただ「進撃の巨人」においてはジャンの非常になりきれない”人間味”のあるところは重要なポイントです。
ジャンのように非情になれないキャラもいればフロックのように敵意をむき出しにしているキャラがいるからこそバランスが成り立っています。
エレンが”戦槌の巨人”を仕留めた残酷な手段
ピークがやられる一方、エレンとミカサはポルコとの戦闘を続けていました。
その時、上空から一隻の飛行船があらわれました。
エレンたちの作戦はマーレを襲撃したのちに飛行船を使ってレベリオ収容区からエレンと兵士を回収して逃げるというものでした。
ポルコはまた感情的になって飛行船を壊そうと飛び出しますが、ミカサによって足を引き裂かれ、エレンに腕をむしり取られて身動きが取れなくなります。
そしてエレンは水晶体で身を守っていて食うことができなかった戦槌の巨人の本体をポルコ(顎の巨人)の口に押し込み、”顎の巨人”の強力な顎を利用して戦槌の巨人を食いつぶしてしまいます。
えっウソ、そんな倒し方するの…!?
エレンに利用されたとはいえ、自ら味方を殺したのと変わらないですからね。
ただ読んでいるときは思いがけない戦槌の巨人の倒し方に「おおっ!」と声が出てしまうほどに高揚してしまいました。
そのままポルコを仕留めようとしたエレンでしたが、ガビたちに助けを求められたライナーが巨人化してあらわれます。
しかしライナーの「もう消えたい」という思いが反映されてか顔が人間のままという不完全な巨人化だったため、エレンにあっさり吹き飛ばされてしまいます。
しかしライナーによってポルカは引き離され、エレンもこれ以上戦う力が残っていなかったためミカサとともに飛行船に乗ってその場を離れていきます。
その現場を見ていたガビは銃を抱えてエレンたちを殺すため飛行船に向かって飛び出していきます。
突然あらわれた巨人によって仲間と家族を殺され、「必ず殺す!!」と闘争心をむき出しにするガビの姿。
かつてエレンが故郷を奪われ母親を殺されたときに「駆逐してやる!!」と巨人に対して怒りをあらわにしていたときのものと同じでした。
第104話 「凶弾」
サシャが銃で打たれる
飛行船の中には兵士たちが戦場から逃れて順調に乗り込んでいました。
6人の犠牲者を出したことを悔やむジャン、犠牲者を出しつつも勝利を収めたことを仲間と喜ぶフロック、ジャンやサシャといった同期の仲間を失わずに生き延びたことを喜ぶコニー。
戦いの結果を受け止め方はそれぞれ違っていました。
同じく飛行船にエレンも乗り込みましたが、先に乗っていたリヴァイに顔を思い切り蹴られて拘束されてしまいます。
104話の後半に分かることですが、今回の作戦はエレンが調査兵団が助けに来ることを分かっていて、それを利用するかのように自分を人質にして強行した作戦でした。
だからみんなもエレンを助けはしたものの、今までとは違ってエレンに対する信頼を失うことになっています。
地上のほうでは追いかけてきたガビが飛行船を守っていたロボフを撃ち殺し、立体機動装置を使って飛行船に乗り込もうとします。
それをファルコはガビにしがみついて止めようとして、一緒に飛行船に乗り込むことになります。
そして乗り込んだガビの撃った銃弾はサシャを直撃。
兵士に当たった銃弾はこの一発でしたが、サシャは瀕死の状態にされてしまいました。
ジークが裏で手を引いていた
他の兵士たちによって捕らえられたガビとファルコは、エレンやリヴァイと同じ部屋にいる首謀者のもとに連れて行かれます。
そこにいたのはなんとマーレの戦士長である”ジーク”。
ガビとファルコはジークが敵に捕らえられたのだと考えましたがそうではありません。
今回の作戦はジークがエルディア側で中心となって企てたもの。
つまりジークはマーレを裏切っていたのです。
ジーク『だがこうして「始祖の巨人」と「王家の血」を引く巨人が揃った
すべての尊い犠牲がエルディアに自由をもたらし必ず報われる』
この言い方エルディア復権派であり、グリシャに巨人の力を引き継いだエレン・クルーガーが言っていた言葉とよく似ています。
ジークが突然マーレを裏切ることをするとは考えられません。
だからジークはもとからエルディア復権派の立場にいたということでしょう。
グリシャはジークをエルディアの戦士として育てることに成功していたんですね。
リヴァイがジークを倒す場面があっさりしてたのは裏切っていたからか!
しかしジークは7歳の時にグリシャたちをマーレに密告しています。
エルディア復権派だったならどうしてこんなことをしたのか?
それはまだ不明ですが、今後明らかになっていくはずです。
因果応報を感じさせる展開
ガビに撃たれたサシャですが、部屋に入ってきたコニーによってサシャが死んだことが伝えられます。
同期であるミカサとアルミンは涙を流しながらサシャに何度も呼びかけ、ジャンはサシャが助からないことを悟っていましたがそれでもショックを受けた表情を浮かべ、コニーも涙を流して立っていました。
エレン『コニー…サシャは…
最期…何か言ったか?』
コニー『…
肉…って言ってた』
その言葉を聞いたエレンは下を向いて「くくっ…」と笑い出しました。
長髪になっているので仲間に顔は見えず仲間の死を笑っているように見えたかもしれませんが、その表情は歯を食いしばり悔しさをにじませていました。
もしかしたらそれは近くにいたジークだけには見えていたかもしれません。
エレンたちはこのまま何もしなければ殺されるのを待つだけになっていたとはいえ、民間人も含めてマーレ人を大量に殺害しました。
かつて自分たちがされたこととまったく同じことをしたわけです。
そのことによって一人の子どもに強い憎しみを与えたことで、サシャが射殺されるという結果を招きました。
自分がやった”行い”はそのまま自分に”結果”となってかえってくるとよく言われていて、これを「因果応報」と言います。
サシャの死は今まで物語の中心人物だったとは思えないほどあっけないものでしたが、そのあっけなさも含めてこの「因果応報」の流れを強くあらわしたものだったと思います。
第106話 「義勇兵」
反マーレ派義勇兵が接触
ここで物語はアルミンの回想によって3年前に遡ります。
それはライナー達が撤退してから初めてマーレの船がパラディ島に来たときのことです。
ハンジは先に上陸したマーレ兵・ニコロを人質にとって船にいるマーレ兵に脅しをかけていましたが、マーレ兵の隊長は脅しを受けてもなお屈することはなくニコロごと撃ち殺そうとしました。
しかし同じ船に乗っていたマーレ兵である”イェレナ”が隊長を射殺。
他の兵士とともに仲間を脅して武器を捨てさせ、島に上陸してハンジと交渉(お茶会)を始めます。
イェレナたちはマーレ兵でありながらジークと裏でつながっている反マーレ派の義勇兵で、目的はエルディア人の解放でした。
ジークの秘策とは?
イェレナを通じてジークは
- ジークに残された時間(巨人の継承者は13年で死ぬ)以内にパラディ島にジークを受け入れること
- エレンと引き合わせること
これらを要求。
その代わりにマーレが持つ武器の提供や情報工作などを交換条件として提示しました。
ジークには「始祖の巨人」と「王家の血」が揃うことで発動できる秘策があり、それこそが世界を救うことになると言いました。
これはかつてエレンが一度だけ”始祖の巨人”の力を発動させたときのことと結びつければ筋が通るものであり、ジークの秘策とは壁の中の巨人たちで世界を踏み潰す「地鳴らし」を発動させることでした。
エレン、ミカサ、アルミンの関係に変化が
イェレナたちを通じて島に来たマーレ人とエレンたちは交友を持つようになります。
最初はお互い疑心暗鬼だったが時間をかけて分かり合うことが出来たため、アルミンは世界の人々とも話し合って誤解をとけば戦わずとも分かり合えるのではないかと考えるようになりました。
しかしエレンは自分たちが巨人に化ける怪物であることは事実だということ、ほとんどのマーレ兵はエルディアを憎んでいること、分かりあうにも時間が必要だからいずれにしても戦って手出しできないようにしなければいけないという考えをくずしませんでした。
エレンとアルミンが話しているところにミカサもいましたが、二人の中間の考えを持っている印象でした。
戦う対象が「得体の知れない”巨人”」から「人間=世界」に変わったことで3人それぞれの考えが変わって、関係性にも変化が出てきていました。
戦う限り続くもの
エレンレべリオ収容区での戦いで民間人も殺しているし、自分を人質に仲間の命を利用するような強行策に出ています。
今までのエレンなら考えられないことをするようになっていて、ずっと一緒にいたアルミンでさえエレンのことが分からなくなっているようでした。
サシャを死なせることになってもなおエレンは「勝てなきゃ死ぬ。戦わなければ勝てない」と、自らを奮い立たせながら戦いを続けようとしていました。
エレンたちエルディア人が世界に頭を垂れて謝罪すればなんとか生きることは出来るかもしれません。
しかしそうなったとしてもエルディア人だという理由で世界から「悪魔」として蔑まれながら生きていくことになるでしょうし、それはエレンが望むところではありません。
エレンが求めているのは自由に生きること。
蔑まれながら生きることは当然自由とは程遠いです。
そのために必要であればどんなに残酷なことであっても実行します。
それがかつて自分が家族を奪われ、激しく憎んだ相手と同じことだったとしてもです。
エルディアがやったことをマーレがやり返し、マーレにやられたことをまたエレンたちエルディアがやっているわけです。
そしてガビがかつてのエレンのような存在になっています。
憎しみの連鎖は続いていて、それは戦い続ける限り終わらないでしょう。
果たしてこの物語はどこに向かうのでしょうか?