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富山の吹奏楽団に所属するTuba吹き。音楽を演奏するのも聴くのも好きな「no music no life」な人間。スピッツファン歴は12年。小心者でビビリながらも興味のあることは何でもやってみるタイプ。

奥田英郎「空中ブランコ」のあらすじと感想① あなたはこのキャラを吐き出すか飲み込むか?

こんにちは、リュウです。

今回は異色の医療小説を紹介します。

 

人気作家・奥田英朗の直木賞受賞作「空中ブランコ」です。

 

 

 

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。

だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。

この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?
直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。

(Amazonより引用)

 

この作品は『伊良部シリーズ』と呼ばれる奥田英郎の人気シリーズの第2作目です。

 

シリーズ物といってもオムニバス形式の短編集となっていて、精神科医の伊良部と看護師のマユミ以外の登場人物は毎回変わっています。

だから第2作となる「空中ブランコ」から読んでも問題なく楽しめます。

 

医者が主人公の小説はかなりありますが、これはなかなか異質なんじゃないでしょうか?

 

 

「空中ブランコ」のあらすじ

この小説は5つの短編で構成されていますが、大まかな話の流れはいつも同じです。

 

 

  1. ある問題を抱えた患者がたまたま見かけたなどの理由で『伊良部総合病院』を訪れる
  2. 『いらっしゃ〜い』という神経科に似合わない甲高い声で迎えられる
  3. なんやかんや理由をつけてビタミン注射をうたれる。
  4. 患者は次第に伊良部の奇妙な言動に逆らう気力をなくし、なんとなく通院するようになる
  5. 伊良部の言動に振り回され、問題がさらに大きくなることも←
  6. でも最終的に解決する

 

 

伊良部は30代後半の中年の医者なのですが、その言動がとにかく幼稚。

まるで5歳くらいの子どもが親にたいしてするような言動を患者に繰り返すのです。

 

 

見た目は大人、中身は子ども。コナン君の反対の存在です。

中年の太った男が子どものように接してくる姿を想像すればその奇妙さが分かるでしょう 笑

 

 

変な言動はしつつも伊良部は実は凄腕の精神科医で、他の精神科医ならやらないような突拍子のない方法で患者の病気を次々と治していってしまう・・・

 

 

なんてことはまるでなく、伊良部は最初から最期まで子どものような言動を繰り返すばかりでまともな治療は一切しません。

 

睡眠薬を出してほしいという患者に間違えて整腸剤を出して『あはははっ』と笑っているほどで、はっきり言ってヤブ医者です。

 

 

しかしどういうわけか彼の診察を受けた患者はまともな治療を一切受けていないのに抱えていた問題が解決していってしまいます。

そしてその流れがどの短編も感動的で、読み終えた時には清々しい気持ちにさせられます。

 

 

伊良部のわがままかつ非常識な言動に笑わせられ、時に呆れ、それでも最後は温かい感動に包まれる。

 

これが「空中ブランコ」という小説のもつ不思議な魅力です。

 

 

 

今回はここで中断。

次回は5つの短編のあらすじと感想を紹介します。