「『アキバ冥途戦争』ってどんなアニメ?」
「『アキバ冥途戦争』は面白い?」
「『アキバ冥途戦争』を観た人の感想を知りたい」
『アキバ冥途戦争』は、P.A.WORKS.が手がけるオリジナルアニメです。
「萌えと暴力について」というキャッチコピーが印象的なお仕事アニメとなっています。
制作会社のP.A.WORKS.はこれまでも『SHIROBAKO』『花咲くいろは』など、女の子が活躍するお仕事アニメを手がけてきました。
そのため『アキバ冥土戦争』は、ありそうでなかったメイドの仕事を描いたアニメかと思われたのですが…
蓋を開けてみれば、全然違いましたね。お仕事ってそういうことですか 笑
めちゃくちゃな展開のようで、実はかなり計算されて作り込まれていることが伺えます。
アニメーションとしては、2022年冬注目作の『チェンソーマン』よりすごいことをしていると感じました。
この記事では『アキバ冥途戦争』全話の感想をまとめていきます。
『アキバ冥途戦争』のあらすじを30秒で解説
『アキバ冥途戦争』の舞台は、1999年の秋葉原。
主人公の和平(わひら)なごみが可愛いメイドになるため上京し、メイドカフェ「とんとことん」で働き出すところから始まります。
仕事のミスが多いながらも、憧れのメイドになれた喜びを抱きながら働いていました。
初日の勤務を終えた後、なごみは店長からライバル店に手紙を届けるお使いを頼まれます。
なごみは自分と同じく新人メイドとして入店していた万年嵐子(まんねんらんこ)とともに、ライバル店に訪れました。
そこで物語は急展開を迎え、なごみのメイド生活は想像とかけ離れた方向に進んでいくのです。
『アキバ冥途戦争』の全話感想・あらすじまとめ
ここからは『アキバ冥途戦争』の各話ごとの感想をまとめていきます。
若干のネタバレを含むため、未視聴の場合はご注意ください。
第1話「ブヒれ!今日からアキバの新人メイド!」感想・あらすじ
“カワイイ”メイドを夢見てメイドカフェ「とんとことん」へやってきた、和平なごみ 17歳。
一緒に入店した新人メイドは、万年嵐子 35歳。
はじめてのメイドカフェに少し戸惑いながらも、なごみはご主人さまにお給仕をはじめる。
P.A.WORKS.が『パリピ孔明』に続き、とんでもない爆弾を仕掛けてきた… !
メイドが銃殺される冒頭のシーンと中毒性のあるOPで一気に惹きつけ、終盤の展開でパニックに陥る。
人が死にまくっているのに残酷さを感じさせないアンバランス感も見事! 本当にすごい!!
ラストのシーンが好きすぎて20回くらいリピートしてしまったのですが、よく見ると合いの手の音ハメに銃声を使っているのが分かってきました。
これには笑ってしまいますね←
▲オタ芸の動作で発砲ってどういう発想だ 笑
萌えと暴力・殺戮は対極の要素で、どちらも万人受けするものではないです。
それをちょうどいい塩梅で混ぜ合わせることで、他の作品にない強烈なインパクトを与えるアニメーションになっていると感じます。
対照的なものを混ぜ合わせているアンバランス感と気持ち悪さ。それを面白く引き立て、笑いすら生み出してしまう心地良さ。
『アキバ冥途戦争』の絶妙なバランス感覚は素晴らしいです!
第2話「賭博萌キュン録ゆめち」感想・あらすじ
昨夜の出来事に衝撃を受けるなごみ。メイドというお仕事に疑心暗鬼になって行く中で、ひとりの秋葉外生命体と出会う。
そして「とんとことん」には店長により、新たな問題が持ち込まれることに……
今回は賭博と1話より闇属性が強まりましたが、メイドという陽のジャンルにより緩和されている印象です。
店の命運をかけたポーカー対決は、ゆめちがイカサマを見抜くという勝利フラグをたて見事に敗北…いや負けるんかい!
最後は暴力と爆破で解決するという、めちゃくちゃな展開です。ただこの作品はそれでいいと思えるのも事実 笑
そして店長が典型的なダメ人間であることが発覚。店長経由で問題が持ち込まれ、メイドたちが振り回されるという構図っぽいですね。
さすがにあの1話に比べるとインパクトにかける印象ですが、ぼくは十分楽しめました。2話は賭博でしたが、3話はどうくる?
第3話「メイドの拳、膵臓の価値は」感想・あらすじ
嵐子は「とんとことん」が滞納する“おひねりちゃん”の肩代わりに、“取り立て屋”から新たな仕事を請け負うことになる。
それは、地下格闘技場のリングに上がることだった。
そしてそこに、秋葉原で横行している高額フィギュアの闇取引も絡んできて……
またしてもおひねりちゃん関係でピンチとなり、今度は地下格闘場での戦い。その裏では高額フィギュアの闇取引も絡んでいてなかなかカオス。
途中から店長が『明日のジョー』の丹下段平みたいになっているのは笑いますね←
作画も変わっていたし…
「店のもんを守れなくて何が店長だっての」と言っていたわりに、ファイトマネーを獲得するために嵐子を身売りして戦わせていました。
本気の殴り合いが続いたり店長としぃぽんがお金のために膵臓を売ったりと、相変わらずなんのアニメなのかわかりません 笑
ただ『アキバ冥途戦争』では、そのミスマッチ感も含めて楽しめてしまうのが不思議です。
とりあえず次からは、ゾーヤ絡みでは日本語を使うかせめて字幕を入れてほしいものです。
「日本語で言ってくれ 笑」「せめて字幕を…」と3回ずつ思ったので←
第4話「実録!豚の調教師だブー!!」感想・あらすじ
ゾーヤが加入した「とんとことん」に、メイド教育のスペシャリスト、ケダモノランドの調教師である佐野がやってくる。
佐野の教育は厳しく、反発する「とんとことん」のメイド一同。それでも次第に、一部のメイドは佐野と心を通わせていくのだが……
店長「この店に必要なものがわかるか?最近ロクにメイドやってないことだよ!」
なごみ「(た、確かに!わたしアキバ来てからほとんどメイドらしいことしてない!)」
そのことに自分で気づけないあたり、なごみは順調にとんとことんに染まってきた感じです←
店長に「この店に必要なもの」を問われて、ゾーヤが「優秀な店長ですか?」と答えていたのは笑ってしまいます。もう見限られてんのかい 笑
とんとことんのメンバーは、ケダモノランドグループから派遣された調教師によりブラック企業さながらの洗脳を受けていきます。
途中から観ていて「あれ、調教師実はいい人?」と思う瞬間があったので、ぼくも結構やばいかもしれません 笑
最終的には唯一異常さを感じていたしぃぽんの行動によりメンバーは正気を取り戻し、いつものとんとことんに戻っていきました。
今まであまり焦点のあたってこなかったしぃぽんですが、今回でかなり好きになりましたね。
結果的に4話は、今までで1番メイドをしていた回でした 笑
第5話「赤に沈む!三十六歳生誕祭!」感想・あらすじ
滞納している“おひねりちゃん”を返済する為に、「とんとことん」の売上を伸ばそうと思案するなごみ。
そんな時、ねるらからイベントをすることを提案され、明後日が誕生日だった嵐子のバースデイイベントを開催することにするのだが……
嵐子のバースデーイベントの協力を求めに系列店に行ったら、笑われた上にトマトジュースで窒息死されかけてしまうなごみと嵐子。
そこにゆめち・しぃぽん・ゾーヤの3人が助けに来てくれたわけですが、3人とも強すぎでは?あの人数を相手にしたのに見た感じ負傷してなかったし…
▲負傷した様子もなく嵐子の歌を盛り上げる武闘派メンバーと、系列店を潰した事実に苦悩する店長
今まで嵐子ばかり戦ってきましたが、実は相当やばい戦力が集まっていたんですね。全員武闘派。
なごみ以外のメンバーは嵐子のバースデーイベントに非協力的だったのではなく、裏でサプライズを用意していたのは、ややベタですがいい展開でした。
店長が口にクリームつけてケーキ持ってきたので、やや感動が薄れましたが←
他のメンバーの姿を見ながらなごみは「大切な人たちができた」ことを感じていましたが、これは今後の伏線にも思えます。
大切な人たちを守るため、なごみも戦う日がくるんでしょうか?
それにしてもこの子、ひょっとして悪意を持ってなごみを系列店に行かせようとした?
ケダモノランドグループなかなか気性が荒そうだから、今回の展開もある程度予想できたのでは、と思うんです。
いずれにしてもこの子は、最終的に争う相手になりそう。
第6話「姉妹盃に注ぐ血 赤バットの凶行」感想・あらすじ
服役中だった「メイドリアン」台頭の立役者『赤い超新星』こと愛美がアキバに帰ってくる。
愛美は「チュキチュキつきちゃん」が「とんとことん」に潰されたことを知り激昂する。
そんな中、なごみはねるらと姉妹の契りを交わすことにする。
ねるらちゃんマジか…グループ同士で対立はしたものの、最後までいい子だった…
「敵になるかも」とか言って恥ずかしいよ!疑ってごめん! 笑
正直なところもしなごみが戦っていたとしても、ねるらちゃんがやられることは変わらなかった気はします。
とはいえ今回のことは、なごみの考えに変化を及ぼしそうです。
第7話「獣抗争史!秋葉外生命体血戦!!」感想・あらすじ
ねるらの命が絶たれたことにより、なごみが「とんとことん」から姿を消して1週間。なごみは忍者になって、秋葉原に身を潜めていた。
そんな中、「とんとことん」に「メイドリアン」の魔の手が忍び寄る。
メイドをやめてなぜか忍者を選ぶなごみ。思いの外うまくやっている印象なので、結構適応能力は高いのかも 笑
今回からなごみも戦い始めましたが、忍者が戦闘スタイルになるんですね。公式サイトに「特技:木登り」と書かれていましたが、この伏線だったのでしょうか?
そしてメイドリアンとの抗争は、思っていた以上にあっさり終わりました。
ここからは内部抗争の話になっていくんでしょうか?ぶっ飛んだ設定だけでなく、ストーリーそのものも先が読めなくなってきて楽しみです。
第8話「鮮血に染まる白球 栄光は君に輝キュン♡」感想・あらすじ
愛美の葬儀の中、凪の命令により、元メイドリアングループのメンバーと
野球の試合をすることになった「とんとことん」一同。なごみひとりだけがやる気満々。
元メイドリアンチームは、愛美の魂を受け継ぎ、赤バットを振りかざす。
親善試合とは名ばかりのデスゲームがここにプレイボール!
元メイドリアンと対立するのは分かりますが、なぜ野球なんだろうか 笑
別の作品ですが『呪術廻戦』の野球回を思い出しますね。
人は死んだけど死んでいないことになり(笑)、最後は野球で真剣勝負ができたので、結果的には良かったんですかね?
何かといい意味で訳の分からない展開が続く『アキバ冥途戦争』ですが、今回はいつになく謎に感じました。
落ち着いて考えれば、今までもいい意味で謎すぎる展開でしたが、なぜか今回は観ていて「???」という感情が強めです(ちゃんと面白かったです)
第9話感想・あらすじ
年に一度のアキバメイドフェス開催に向けて、準備をする「とんとことん」一同。
ケダモノランドグループの底辺である「とんとことん」は、ここでも底辺に相応し扱いを受けていた。
底辺から抜け出したいと思う一同は、“ケダモノランド生態系の手引き”が存在するのを知らず、
“お萌さま登り”に挑むことにする。
アキバメイドフェス…当たり前のように開催されているけど、結構カオスなイベントでは?
「萌え萌えキュン!萌え萌えキュン!」を連発するアナウンス?には笑ってしまいます←
「ケダモノランド生態系の手引き」でわざと負けるように指示されていたにもかかわらず、店長の失態でなごみたちに全く伝わっていない。
それどころか逃げて釣り堀にいたことや、なごみたちに全く心配されていないところはやっぱ店長ってそういう人だよなという感じです。
お萌さまの頂点をとったことを店長も喜んでいたので、あんなに念押しされていた手引きの確認をしていなかったのですね。なんで店長になれたんだ??
▲毎回誰かしら死んでいるので「今回は誰だ?」と思っていたら、取り立て屋がまさかの死亡。そしてこのコメントは、さすがに正論すぎる…!
第10話「メイド心中 電気街を濡らす涙雨」感想・あらすじ
お萌さまの頂点を獲った「とんとことん」は珍しく繁盛していた。
そんな中、店長の計らいにより、嵐子は常連のご主人さまである末広と休みの日にデートをすることに。
しかし、末広には嵐子には言えない秘密があった。
そして、何かを伝えようとするパンダがいた。
かなり予想外の展開。パンダと嵐子がここでつながるのもそうですし、末広さんの嵐子への言葉は絶対嘘だと思ってました。
ねるらちゃんのことも敵になると思っていたし、ぼくは心が歪んでいますね…
末広さんの嵐子への想いは本当だったわけなので、御徒町さんが何もしなければ嵐子が普通の幸せを手に入れられたわけです。
嵐子が雨の中、拳銃を持たずに末広さんを待っていたのは、彼の言葉を信じていたからなんでしょう。
もしかしたら彼の言葉が嘘で、殺されることになってもいいと思っていたのかも…?
結局末広さんは御徒町さんに殺され、嵐子の前には現れなかった。「メイドに普通の幸せは手に入らない」ということを体現する残酷な結末です。
これまでぶっ飛んだ展開で予想を裏切ってきた『アキバ冥途戦争』ですが、今回は王道な展開で裏切りを見せてきました。
そして嵐子の本当の因縁の相手は、かつての同僚で現ケダモノランドグループトップの凪であることが判明します。
殺人の動機は自分がトップに上り詰めるため?ラストに向けて大きく物語が動き始めました。
第11話「萌えなき戦い」感想・あらすじ
お萌様効果で大繁盛していた「とんとことん」に、突如ケダモノランドグループから絶縁状が突きつけられる。彼女たちを取り巻く状況は日に日に悪化し、「とんとことん」は窮地に陥っていく。
そんな中、嵐子は絶縁になったのは自分が原因だと、侍女茶館時代の凪との過去をみんなに語りはじめる。
いや、これは…さすがに予想できない…今回の死人は乗り込んできたメイドかと思ったら、ここに来て嵐子が殺されるとは…
あれくらいで凪が許してくれるとは思えなかったけど、刺してきたのも凪の指示?
これはかなり衝撃がでかい展開。正直ラストが全部持っていってしまっていて、何も考えられない状態です。
しかも次が最終回ですからね。これでどう終わるっていうんだろう?
第12話「萌えの果て」感想・あらすじ
凶刃に倒れる嵐子。その死を嘆き悲しむ「とんとことん」の面々。
喪に服すなごみは“黒豚”となり、自らが拒絶してきた暴力に縋り復讐を果たそうとするが……
メイドとは何なのか、萌えとは何なのか。そして、萌えの果てに、なごみが見たものとは!アキバ冥途戦争、ここに完結!
おお、ここでタイトルの本当の意味が明らかになるんですね。てっきり「メイド同士の抗争=冥途戦争」だと思っていましたが浅はかでした。
暴力を仕掛けてくるとんとことんメンバーに対し、自分の理想のメイド象をぶつけることで対抗したなごみたち。
みんな本当はなごみの言うように、もっと「萌え萌えキュンキュン」していたかった。でも「メイドは戦うもの」だから、同調圧力のようなものでそれができなかった。
最後に凪が銃殺される結末は、なごみの姿に揺れ動かされた結果なんでしょう。
1話でインパクトがでかかったシーンの再現のようなものが、最終回であったのはなんだか嬉しかったです。
そういう細かい仕掛けが、あまりよく考えずに観ていても伝わるのがまた上手いです。
結構謎を残すラストではありましたが、最後までこの作品ならではの良さが活きていて楽しめました!
『アキバ冥途戦争』全話視聴しての感想【バランス感覚◎・実は深い作品】
全話通して感じることはとにかくバランス感覚が絶妙であること、そして実は結構考えさせられる作品だなということです。
殺戮シーンを残酷に感じさせないバランス感覚
まずバランス感覚についてですが、この作品はとにかく人がバンバン死ぬし血飛沫もすごい。
そんな物騒なシーンにもかかわらず、メイドという要素があるせいかそんなに残酷に感じさせず、なんならポップに観れていました。
異質なものを組み合わせて中和させ、ポップに仕上げるバランス感覚は素晴らしいなと思います。
自分がやったことは自分に返ってくる「因果応報」を感じさせる展開
そして後半に行くにつれて、因果応報を感じさせる深い内容になっていったと感じます。
人を殺しまくっていた嵐子は普通の幸せを手に入れられなかったし、最後は刺殺されてしまう。凪も最後は、嵐子と因縁のある2人によって殺されてしまいました。
一方なごみは、車椅子に座っていたので足を負傷したんだと思いますが、36歳になっても現役のメイドであり続けています。
なごみが足の負傷だけですんだのは、敵メイドの足に発砲しただけで誰も殺していないからではないでしょうか?
足への発砲も問題ですが、メイドの常識から考えると綺麗なものです。
なお最終回では、凪の発砲によってとんとことんメンバーがどうなったのか分からないように描かれています。
とんとことんメンバーもかなり人を殺していますから、この作品の因果応報の理屈で考えると全員死んでいるんですよね…
勢いだけじゃない深さのある作品。残念なのは…
放送時は強烈な勢いで観せられましたが、全てを把握した上で観るとまた見方が変わってきそうな感じがします。
そういう意味でも、勢いだけのようで実は深い面白い作品だったと思います。
残念なのは1話が最大瞬間風速で、それ以上の風がこなかった事。あのインパクトを維持できたら、絶対トップ取れるんだけどなぁ…