こんにちは、読書好きブロガーのリュウです。
「君の膵臓をたべたい」でデビューし大ヒットさせた住野よるさんの2作目となる小説を読みました。
誰にでも後悔していることがひとつはあります。
それは人間関係に関するものが多いのではないでしょうか?
人との関わりは難しく問題が起きやすいです。
しかしそれを助けてくれるのも「人」です。
そんな人とのつながりの大切さと幸せについてたくさんのことを教えてくれる作品でした。
ちなみにこの小説はオーディオブックサービスの「audiobook.jp」でも聴くことができます。
オーディオブックは「耳で聴く本」で、人気声優やナレーターの方の朗読でより物語が引き立てられ、面白くなっています。
活字が苦手な人や忙しくて本を読む時間が取れない人はオーディオブックで楽しんでみましょう!
Contents
「また、同じ夢を見ていた」のあらすじ
きっと誰にでも「やり直したい」ことがある。学校に友達がいない“私”が出会ったのは手首に傷がある“南さん”とても格好いい“アバズレさん”一人暮らしの“おばあちゃん”そして、尻尾の短い“彼女”だった―
主人公は小学生の女の子”小柳菜ノ花”(こやなぎなのか)
国語の授業で「幸せとはなにか」を考えることになり、菜ノ花は学校が終わったあとに出会った3人の女性と幸せについて考えていきます。
その途中、親や友達との関係で問題にぶつかりますが、この3人に支えられて答えを見つけて乗り越えていきます。
みんな幸せが何なのか分かりませんでしたが、3人の女性を含む他の登場人物も菜ノ花との関わりをとおして自分にとっての幸せを見つけていきます。
菜ノ花が出会う3人の女性についてはある共通点がありました。
そのことについてははっきりした答えは明かされないのですが、最後まで読んだら「たぶんこういうことだろうな」というものが見えてきて温かい気持ちにさせられます。
3人の女性の共通点とは?
そして菜ノ花が見つける幸せの答えとは?
「また、同じ夢を見ていた」の登場人物
物語については登場人物のことを知ってもらうほうが分かると思うので、ここで紹介します。
小柳菜ノ花
この作品の主人公の小学生。
本を読むのが好きで、チャーリーブラウンをまねて 「人生とは○○のようなものよね!」と人生を何かにたとえるのが口癖。
あいさつをするときは「ごきげんよう!」、お菓子などをもらうときは「いただくわ!」というなど、大人びた話し方をする。
「365歩のマーチ」がお気に入りのようでよく歌っている。
自分のことを周りの子と比べてかしこいと感じていてクラスの子のことをバカだと思っていて、人を思いやることがうまくない。
そのためクラスに嫌われていて友達がいないが菜ノ花自身はまったく気にしておらず、むしろ菜ノ花もクラスの子が嫌いだったためちょうどいいと思っている。
菜ノ花が見つける「幸せとは何か」の答えは?
尻尾の短い”彼女”
彼女といってもその正体は人ではなく黒猫。
菜ノ花が雨の日に血を流して怪我をしている彼女を見つけて助けたことがきっかけで、菜ノ花と学校が終わってからの時間を一緒に過ごすようになる。
どうすれば人に気に入られるかを分かっているようなそぶりを見せるため、菜ノ花は彼女のことを「悪女」「魔性の女」だと思っている。
猫については大きなネタバレにつながるので詳しくは書けませんが、菜ノ花はこのあと紹介する3人の女性とは黒猫に導かれる形で出会っています。
菜ノ花は幸せの答えを探していて、その答えを3人の女性を通して見つけていくので黒猫には菜ノ花を幸せに導いていく意味がありました。
黒猫といえば不吉の象徴とされています。
その黒猫が幸せの答えを見つける物語で重要な意味を持っているというのは、なかなか粋ですね。
アバズレさん
怪我をした尻尾の短い彼女を見つけたものの菜ノ花にはどうすることもできず「この子を助けて!」とアパートの部屋を訪ねたことで知り合う女性。
部屋の表札に黒マジックの汚い字で「アバズレ」と書いてあったことから「アバズレさん」と呼ぶようになる。
菜ノ花はアバズレという言葉の意味も、彼女がしているという「季節を売る仕事」がなんなのか分かっていないが、自分に分からないことをたくさん知っているアバズレさんのことを信頼していてアバズレさんのようにかしこくなりたいと思っている。
菜ノ花のことを「お嬢ちゃん」と呼ぶ。
クラスメイトとの関係で悩み人と関わることを避けようとしていた菜ノ花に同じことを考えた自分のようにならないようにアドバイスをおくる。
「ある時、気づいたんだ。自分の周りには何もないってことに。
立派な大人になったはずなのに、褒めてくれる人もいないってことに気がついた」
南さん
高校生の女の子。
スカートの刺繍に「南」と書かれていたことから、それを名前だと思った菜ノ花が「南さん」と呼ぶようになる。
菜ノ花が尻尾の短い彼女と一緒に入った建物の屋上で、リストカットをしようとしている南さんに遭遇したのが出会いのきっかけ。
リストカットという言葉も自分で自分を傷つける意味も分からない菜ノ花は理由を尋ねますが、「安心する」という南さんの答えを理解することはできなかった。
最初は菜ノ花を煙たがっていたが徐々に心を開いて、書いていた小説を菜ノ花に読ませるほどになる。
菜ノ花のことを「ガキ」と呼ぶ。
菜ノ花が親とけんかをしていた時に初めて感情をあらわにして大切なことを伝える。
南さん「意地になって引き下がれないのも、分かる。だけど、それでも今日、お前から謝れ。ごめんなさいって、言え。」
菜ノ花「い、嫌よ!そんなの、大体・・・」
南さん「ずっと後悔することになるんだぞ!」
おばあちゃん
菜ノ花が偶然見つけた丘の上のクリーム色の家にひとりで住んでいる。
お菓子作りが得意で、家に来た菜ノ花にフィナンシェなどを作って振舞い、いつも優しい口調と笑顔で菜ノ花の話を聞いてくれる。
家の部屋には友達が書いたという、菜ノ花が感嘆してしまうほど美しい絵が大切に飾られている。
菜ノ花のことを「なっちゃん」と呼ぶ。
「幸せとは何か?」について菜ノ花が見つける答えの一番のヒントになることを菜ノ花に伝える。
「いいかい、人生とは・・・」
おばあちゃんがまねした私の口癖は、まったく冗談にも何にもなっていなくて、「どういう意味?」と、聞く必要のないものでした。
でも、私の心は、おばあちゃんの言葉で、上手な冗談を聞いたときよりも、ずっと満たされました。
「また、同じ夢をみていた」の感想
童謡を読み聞かせるような優しい語り口
物語は主人公の菜ノ花の視点で語られます。
主人公の視点で語られる小説はたくさんありますが、この作品の大きく違うところは「~のです」「~でした」という言葉を使った絵本や童謡を読んでいるような優しい語り口です。
作者の住野さんは「童謡のようなものを目指した作品」と語っています。
ぼくは小さいころ親に読み聞かせをしてもらっていたときの気持ちを思い出しました。
小説を普段読まない人でも読みやすい反面、もしかしたら苦手な人もいるかも・・・?
人生での大切なことがいくつもつまっていますが読後は優しいあたたかさが感じられ、心地よい余韻が残ります。
「君の膵臓をたべたい」との共通点
住野よるさんの小説で他に読んだことがあるのは「君の膵臓をたべたい」のみ。
2作を読むかぎりでは住野よるさんの小説には共通点があります。
それはどちらも人とのつながりを大切にしているということ。
「君の膵臓をたべたい」には主人公にヒロインの桜良がこんなことを言う場面があります。
「誰かを認める、誰かを好きになる、誰かを嫌いになる、誰かと一緒にいて楽しい、誰かと一緒にいたら鬱陶しい、誰かと手を繋ぐ、誰かとハグをする、誰かとすれ違う、それが生きる。(中略)そういう人と私の関係が、他の人じゃない、私が生きてるってことだと思う。」
「また、同じ夢を見ていた」でも人とのつながりについて描かれている場面があります。
どちらの作品でも主人公は人との関わりが希薄で、それが周りの人の影響で変わっていきます。
2作続けて人との関わりを大切にした物語を書いているので、住野よるさんが小説を書く上で人とのつながりはとても大きな意味を持っています。
ぼくは学生のころ全然友達ができずふさぎこんでいた時もありましたが、いい人との出会いがあったおかげで 明るく幸せに生きられるようになりました。
人との出会い、縁はとても大切なもの。
そのことをこの物語は温かい作風で読み手に教えてくれます。
「また、同じ夢を見ていた」はオーディオブックでも聴ける
この小説はオーディオブックサービスの「audiobook.jp」でも聴くことができます。
オーディオブックは「耳で聴く本」で、人気声優やナレーターの方の朗読で本を聴くことができます。
スマホアプリを使って聴くことができるので、通勤の時や運動している時、家事をしているときなどいろんな場面で本を楽しめます。
大空さんが演じてくださった、奈ノ花、超小生意気な感じですごい可愛いです😊
— 住野よる (@978410350831_1) 2017年12月18日
「また、同じ夢を見ていた」でも名だたる声優さんたちが登場人物を演じていますが、物語をより引き立てる演技と表現力は見事の一言。
声優さんはやっぱりすごい。
普段本を読まない人はもちろん、よく本を読む人もいつもと違った本の楽しみ方ができるのでオススメです!
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