オピニオン

【市立柏】吹奏楽部の「長時間練習撲滅」の動きには賛成できない

吹奏楽コンクールの全国大会に毎年のように出場する、千葉県の柏高校。

2018年に部員が自殺していたことが発覚し、問題となっています。

この事件に関して、大きく問題視されているのが長時間労働。

過労死ラインを超える練習時間で、それが自殺の一因になったと考えられています。

吹奏楽部の長時間練習については、これまでも問題視されていました。

ぼく自身も改善は必要だとは思いますが、違和感を覚えるところもあり賛同しきれていません。

今回は、過去に全国大会を目指し長時間練習に打ち込んでいたぼくの経験をもとに、この事件についての考えを書いていきます。

吹奏楽部で常態化する「長時間練習」の体験談

今から12年前の話ですが、ぼくも全国大会を目指す吹奏楽部に所属していました。

柏高校ほどのレベルではないものの、練習時間に関してはほぼ同じ条件です。

  • 半強制的な朝練(毎日)
  • 平日は16時〜18時(自主練で実質8時)
  • 休日も18時まで練習(大会が近いと21時)
  • 基本休みなし(テスト前と月1回は休みがある)

柏高校ほどに比べるといくらかマシなレベルだと思いますが、練習時間に関しては限りなく近かったです。

朝練や部活後の自主練はほぼ全員残って練習するので、無言の強制力があったのを覚えています。

過去に「疲れで集中できなそう」と考え自主練せずに帰った際は、他の部員からいい顔をされませんでした。(冗談めかした言い方ではありましたが)

毎年全国大会に出る吹奏楽部について調べると、どの学校も厳しい練習に取り組んでいます。

学校の都合で部活時間が限られるところ以外は、全国大会金賞を目指して長時間練習を続けているところばかりなのが実態です。

余談ですが、高校の吹奏楽部だけでなく大学の吹奏楽団も相当やばいです。

特に関東の某大学なんて、1小節の練習に何時間もかけたり、台風で帰れなくなったから朝まで練習したりするとか…(OBから直接聞いた)

長時間練習が諸悪の原因なのか?

今回部員の1人が自殺したことに関して、長時間練習が大きな要因として挙げられています。

記事によると過労死ラインを超えており、思考力や集中力が低下している状態だったとか。

報告書は、男子生徒の自殺の原因とみられる要素として「学業不振、異性問題、教職員からの指導、いじめ問題、部活への参加」と複数挙げたが、「どれが直接的な原因になったとは特定できない」と結論付けた。

その上で、当時の生徒が自身の悩みに適切な対処ができなくなるまで思考力や集中力などが低下していたと指摘。その要因として強調したのが、部活の長時間練習だった。

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吹奏楽部の長時間練習はこれまでも問題視されてきましたが、ぼくにはどうも短絡的に思えてなりませんでした。

  • 長時間練習が諸悪の根源なのか
  • 長時間練習だけで思考力・集中力が低下するのか
  • 長時間練習をなくせば自殺を防げるのか

ぼくも部活で長時間練習に取り組んできましたが、それ自体を辛いと思ったことはなかったです。

きついと感じることや、おかしいと感じることもあるにはありました。

しかし自分の好きなことに打ち込んでいるので、基本的に楽しい3年間でした。

部活が休みになるとやることがなくて暇なので、わざわざ学校に行って練習することもありましたからね 笑

部員のみんなも大好きだったため、きつい中でも楽しさのある部活でした。

もちろん長時間練習は、改善すべきです。

しかし長時間練習を諸悪の根源のように扱うのは、問題の本質を見失いかねません。

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最大の問題は「厳しすぎる練習環境」

もし吹奏楽部が自殺の原因になったのであれば、それは厳しすぎる練習環境に問題があると思います。

柏高校の吹奏楽部がまったく叱責されず、にこやかに協力しあえる練習環境でも、生徒は自殺したでしょうか?

仮に部活が辛いと感じても周りに相談したり「部活をやめる」という選択肢も取れたはずです。

今から12年前に柏高校の部員の人と会ったことがあるのですが、話を聞く限り上下関係がドン引きするレベルで異常でした。

もちろん当時と変わっている可能性もありますが、自殺を報じた記事を読む限り改善されているとは考えにくい。

本当の自殺原因は当人にしかわかりませんが、ぼくは吹奏楽部での過度に厳しすぎる環境を改善すべきだと思います。

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【コンディション最悪】非効率的なので長時間練習は改善すべき

ぼくは長時間練習を諸悪の根源のように扱うことには否定的ですが、改善は必要だと考えています。

というのも長時間練習は、全国大会や金賞を目指すという面から見ても非効率的だからです。

吹奏楽部の多くは、コンクール直前になると休み返上で追い込み練習をかけていきます。

自ずと長時間練習になるのですが、あまりに練習しすぎると口がバテて音が出しづらくなっていきます。

つまり、コンディション最悪の状態でコンクールに出場することになるのです。

実際「支部大会より県大会の方がいい演奏だった」ということはよくあります。

また、音楽はいくら練習しても「これで満足」というものがありません。

過去には練習のしすぎで凝りに凝った演奏になってしまい、全国大会を逃した学校も。

時間かけて練習したのに、むしろ質が低下してしまっては本末転倒ですよね。

コンクールでこれまでの練習の成果をしっかり出すため、長時間練習は見直しが必要です。

吹奏楽部は「楽しみながら成果を出す」ということを目指してほしい

現在では怒らない先生も増えてきましたが、それでも多くの吹奏楽部で厳しい指導をしているのが現状です。

ぼくは学生のころにコンクールで金賞を取るという経験は、社会人になっても自信になると考えています。(ぼく自身がそうなので)

そのためコンクール至上主義でも構わないと思っていますが「楽しみながら成果を出す」ということを目指してほしいです。

毎年のように全国大会に出るような先生なら、過度に厳しくしなくても成果を出せると思うんです。

吹奏楽は、生涯にわたって趣味にしていけます。

「コンクールで金賞を取るための演奏」ではなく「社会人になってからも音楽を続けられる演奏」を学んでいってほしいですね。

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