満喫ぶろぐ

2つの吹奏楽団でTubaを演奏する楽器歴10年目。富山県在住。スピッツはたぶん一生好き。小心者でビビリながらも興味のあることはいろいろやってみるタイプ。

純粋な気持ちと黒い感情の両方が感じられる「ぼくのメジャースプーン」が引き込まれるおもしろさ!

僕は小説を読むのは遅い方です。

前と比べると継続して読むようになったとはいえ他の本と同時に読み進めるので

月に一冊、うまくいっても二冊です。早い人はどれくらい読むんだろう?

 

 

そんな僕が読み始めたら話に引き込まれて止まらなくなった小説が

直木賞作家の辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」です。

 

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

 

 

とにかく面白くて夢中になって読んで3日で読み終えてしまいました。

 

 

この物語の主人公である小学4年生である「ぼく」(はっきりした名前は出ていない)は「条件ゲーム提示能力」と呼ばれる人の潜在能力を引き出す能力を持っています。

 

この能力を自覚してからは使わないようにしていましたがある日事件が起こります。

 

 

医学部の大学3年生である市川雄太が学校で飼っていたウサギをバラバラに切断。

それを主人公が仲良くしていた同級生の女の子の「ふみちゃん」が発見し、

そのショックで心を閉ざし話すことができなくなってしまいます。

 

器物損壊で捕まった、市川雄太が壊したもの。

うさぎの身体とその命。

ふみちゃんの心。

 

 

器物損壊で捕まり何も失わず罰も受けない市川雄太に対し、主人公はふみちゃんを救うために自分の能力で罰を与えることを決意し、ただ一人能力を持っている「先生」に能力を教わりに行きます。そこで犯人に能力をどう使うかを考えていきます。

 

 

この小説は主人公である「ぼく」の視点で進んでいきます。

小学4年生の主人公の視点で進むので話がとても分かりやすいです。またふみちゃんを想う純粋な気持ち、ふみちゃんのことで傷ついているのが感じられるので切ない気持ちでいっぱいになります。

 

 

能力を教わる中で市川雄太の価値観について考えていきますが、その中で人間の欲や本質といった黒い感情も存分に描かれています。

 

 

誰かを想う純粋な気持ちと人間の欲といった黒い感情。

この両方がここまでバランスよく描かれている小説はなかなかないです。

 

 

小説を大体中だるみするところがあるのですがこの小説ではそれがありませんでした。それが僕がこの小説を3日で読めた理由でもあります。

 

 

主人公が最後に選んだ罰はふみちゃんを想う気持ちからでたショッキングなものでした。それがこの小説のテーマにつながっていきます。

 

 

この小説について作者の辻村さんはこのように語っています。

 

書き終えるまで決めていたのはただ一つ、<逃げない>ということ。

私の自信作です。

 

 

それくらいの気持ちがなければ書けない作品です。